Click here, in order to expand.

3つのバラッド

 

スコアを購入したい

ヴァイオリンとチェロのための

初演:2002年10月10日(木) 音楽之友ホール

演奏者: Vn.清水大貴 Vlc.丸山泰雄


初演時のプログラムより──

 本来バラッドは中世からイギリスなどで歌い継がれる通俗的な歌曲を指す。その多くは作者不詳で、素朴な語り口の中に重層的な暗喩を秘めた歴史的、伝綺的、神話的な内容を持つ。長い間にその記号的役割を失って意味が不明になったものもあるが、簡明と晦渋の同居した特異な世界は尽きせぬの魅力を持っている。

 やがてドイツにおいてバラーデ(Ballade)と呼ばれる芸術的に洗練された形に高められ、物語性の強い器楽曲の名称としてブラームスやシューベルト等が好んで用いるようになる。

 

 今回はこのバラッドの物語的な性格に寄せて、例えばシネマのシークエンスを切り出したような3つの小品を書いてみた。

──今回はあえてあまり弦楽器らしくない楽想にした。聴き慣れた弦のイメージを破って見たかったのだが結果は良くもあり悪くもありというところか。確かに新鮮な響きにはなったと思うが、演奏者にはかなりの負担を強いたようだ。